2019年06月09日

場薄リーチの是非

今回は、場に出ていて薄い待ちのリーチ判断について。

「場薄」というと厳密には語弊があるかもしれないが、語感がいいのでこれを用いることにした。

「場薄」の定義は、待ちが目に見えて残り2枚以下、になっている状況を指すものとする。


麻雀においては、手牌構成上ターツを選択していかなければならないので、テンパイ前にその有効牌が場に多く切られるということは少なくない

有効牌をポンと言われて、一瞬で愚形ターツ化する、なんていう経験も多いだろう。

両面ターツならまだしも、それがカンチャンやペンチャンなどの愚形ターツの場合は、ターツ落としを強いられるケースが大半だ。


一方、ターツを振り替えるための有効牌を引かないまま、場薄ターツが残ってテンパイするということも、ままある。

この場合に、ターツを振り替えるか即リーチといくかどうかで悩ましい、と感じたことはないだろうか?

場薄でも即リーチに踏み切るための要素としては以下のものがある。


@巡目的にターツを振り替える猶予がない

中盤の後半、10〜12巡目ぐらいのテンパイだと、ターツを振り替えるための巡目的余裕がないため、下手すると再テンパイすらしないまま流局ということにもなりかねない。ある程度の打点があるなら即リーチの方が局収支的には優ると考えられる。


A待ち色が場に安い

場薄ということは必然的に他家がその色を切っているということであり、比較的待ち色は安くなっていることが多い。
それに加えてノーチャンスになっているとか、自身の河にも迷彩があるとか、自身の出アガリが期待できる河になっているなら即リーチが有効であることが多い。


Bドラを固めているなど、打点が伴っている

自身の打点が高いからこそ、もっとアガリやすい待ちを求めるのかは判断の分かれるところだが、自身に打点が伴っていると相対的に他家の打点が下がるので、リスクは低くなる。捲り合いでもそんなに悪くはないが、ラス率はやや上がる打ち方ではある。


C余剰牌が有効牌ではない

ターツ振り替えに一手で済むか二手かかるか、ということはかなり大きい。
手組み上ブクブクに構えることはこういう場面で効果を発揮する。
自身が高打点であれば、アガリを逃さないように構えやすいので、むしろそうではない受けの手組みの際にこうなっていることが多い


私の考えるリーチの判断基準としては、10巡目以降なら、相手がほぼ使えない、かつ山に待ち牌が1枚いるならリーチ、というのが明快ではないかと思う。

この場合、相手が使えないことで掴んだ際に出さざるをえない、ということもポイントになっている。


いずれにせよ、以上の4ポイントの重複具合も加味しながらリーチ判断していくこととなる。

それでは、失敗例も含んだ実戦例から見ていこう。



case1
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東3局、22300点持ち3着目の北家。

場にピンズが猛烈に安くなっているところ、このテンパイが入る。

東は場風でピンフはつかず、高目のイーペーコー目も場枯れ。

さて、どうしよう?





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即リーチとした。

自身にドラがなく、非常に怖いリーチ。

上家の仕掛けのドラ切りがなかったら、リスクが高くて行かなかったかもしれない。

仮に残り1枚の東が暗刻になったとしても、47pも薄くて特別アガりやすくはならない。

8pは山に1枚はいて、誰が掴んでも使えないだろうことが、このリーチの強みだ。


tenhou.9835.jpg

結果は仕掛けの上家に凌がれ、500・1000となった。


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親はドラ暗刻の大チャンス手だったが、当たり牌の8pを掴んでストップ。

押し切れば確実に放銃というところに追い込むことができた。

ダマにしてこの8pをツモ切られているかどうかというのは大きい。

このように、他家がほぼ使えないだろう牌で待つことは回し打ちが機能しにくいため、リーチに踏み切る要素となる。

ただし、攻め返されるとリスクが甚大なだけに、せめて赤orドラが1枚、もしくは高目の5pが1枚生きている、ぐらいならこのリーチが正当化できる、そういうバランスではないだろうか。



case2
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東4局2本場、18900点持ちラス目の南家。

くっつきテンパイのところ、場に2枚目が切られたばかりの2sが待ちになった。

さて、どうしよう?





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これを拙速と見るかどうか。

1s切っての手変わり待ちは、優秀な変化が4s7mぐらいしかない。

マンズは好形に変化しづらく、ピンズは伸びても9pがフリテンになるし、例えば9mツモってのドラ表示牌待ちになったとしてもたいしてアガリ率は変わらない。

一見乱雑なリーチに見えるが、変化効率的に考えるとなるほどと思える部分もある。


tenhou.19414.jpg

リーチ時の全員の手牌はこうなっていた。

対面の2sが浮いていて、親は2s先処理が間に合った形。

親の手が高く、対面の2sが止められるとなると、やはりリスキーなリーチであることがわかる。


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結果は、意外なことに、対面が終盤に一発ツモで2000・4000のアガリ。

丁寧に対応されて、当たり牌の2sをまんまと使い切られた。

親は手順でピンフへ移行したが、ツモが効かずにテンパイしなかったのは幸いだった。

私はリーチ後ほどなく7mをツモってしまい、裏目感も漂ったが、69mでのアガリ逃しもなかった。

残り1枚の2sは山に1枚眠ったままだった。

今の私のこのリーチに対する評価としては、さすがにこの巡目のリーチなら最低ドラ1はほしいところで、やはり1s切りから打点か好形を求めていく方がいいように思う。

ただし、こういう一見常識はずれな着手に勝利への道筋が潜んでいるということもあるので、思考を遮断せずに、きちんと評価していきたいと思う。

この半荘は3着だった。



case3
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東3局、19000点持ち微差の2着目の西家。

ドラドラのテンパイだが、2mは場に2枚切られている。

さて、どうしよう?





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即リーチするも、5sがアウトで5200。

このぐらいの場況であれば、変化待ちよりも即リーチの方が実利的だろう。

自身の3m先切りで、2mはわりと出やすくなっている。

ソーズの亜両面形は好形変化枚数がさほどでもないし、待ちになっても出にくい。

事実、2mは山に2枚いた。他家の使えない山2は威力十分だ。

この半荘はラス。



case4
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東1局3本場、6900点持ちラス目の南家。

ドラ3のテンパイとなったが、3sが場に2枚切れている。

さて、どうしよう?





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即リーチとした。

絶対にアガりたい手だが、待ちが微妙で曲げるか迷う、ありがちなシチュエーションではないだろうか。

この場合、余剰の5sが有効牌で、巡目的にもまだ余裕があるというのが迷える要素。

ただ、連続形ではない孤立5sなので、好形くっつきが2種しかないというのがある。

取らずでも手をこまねくのが目に見ているので、それならばプレッシャーも兼ねてリーチとした。


tenhou.24639.jpg

この時点で、なんと3sは空だった。

上家の切り的には、3sは持っていない可能性が高いのだが、これが誤算だった。


tenhou.24640.jpg

ところが、5sを切った効果で河がこんなことに…

あれ?これってもしかしてアガれるやつか?


tenhou.24641.jpg

しかし、そうは問屋が卸さず。一人テンパイで流局。

ベタオリされると出ないわけだが、一人テンパイなら及第点。

5sくっつきを待っていたら日が暮れてしまっていた。

他家へのプレッシャーも込みでこれで良かっただろう。



case5
31557.jpg

東2局、18000点持ちラス目の北家。

トップ目の親リーチが入っているところ、場に6枚目の36mが上家から放たれた。

こちらはドラドラ赤の大チャンス手。

さて、これを鳴く?





31559.jpg

スルーした(ラグあり)。

これはかなり意見の分かれるところだとは思うが、私が仕掛けるかどうかの基準は自身のアガリ目がどれくらいあるか、というところにある。

余剰の1m、5p、6sの危険度が高く、47pも急所となっていて放銃せずにアガリを得る未来が見えない。

トップ目の親リーチ、しかも九段ということもあってぬるい待ちとは考えにくい。

この局は耐えるべき、という判断でスルーした。

一牌仕掛けてしまうと、止まることは許されず、放銃確率も高まる。


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丁寧に回っていると、1mが暗刻になり、テンパイが入る。

あの後3mが1枚切られて都合7枚の36mが見えている。

さて、どうしよう?





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さすがに5m切りから回った。

36mが残り1枚というのもあるが、切り出す6sの危険度がかなり高めなので見合わないと判断した。

スルーして回った結果のテンパイで、わりと感触はあるので、これが残り2枚なら腹を括ってリーチというところ。


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うわっ、6m一発で出てたよ、マジか…

こうなってくると6sが当たりであってくれた方がいい。


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粘った結果、6sにくっついてテンパイが入る。

5mと3mがノーチャンスにつき、4mは安全。

8sがフリテンでなければリーチもあるが、ここはダマで良し。


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結果は3人テンパイで流局。

親の待ちは47sで当たらずも遠からずだったが、結果的には36mでリーチなら一発で8000からのアガリを得られていた。

が、自身もテンパイで粘れたことは大きく、アガリを逃しても非常に感触のある一局だった。

待ちの枚数と切り出す余剰牌の危険度を考慮してバランスを取った一局。

総合的には正しいと思えるが、時に動物的嗅覚が正しいこともあり、その感覚を極めていくことが麻雀道であると私は思っている。



次回はこれに関連して、【鳳凰卓の凌ぎ編】をお届けしたいと思う。
ラベル:天鳳 立直
posted by はぐりん@ at 23:56| Comment(4) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しく拝見させてもらってます。この度は初めてコメントをさせて頂きますm(__)m
*完全に私の感覚、主観的なモノで、データや統計的裏付けがないモノがほとんどです汗

case1だけ悩みます汗 打点がなく、「薄そう」ではなく完全に「薄い」。最悪降りてテンパイ料支払ってもいいかな…て思考になりそうです。現代麻雀のリーチは強いので、リーチしても良いんですが。一発ツモ裏もありますし、相手が一発で出してくる可能性もある8pだと思うので。テンパイにだけとって、残り1枚の東引き、東ポンからの7p期待にしても悪くはなさそうにも見えます

case2は即リーチします。親が42ソウ捨てて速そうではあるのですが、逆にその親が2ソウ引き戻したら一発ロンまであると考えられるので。対面が2枚抱えていたら運が悪かったと開き直ります。それくらいリーチは強いと考えているので。

case3は、case2で即リーなので迷うことなくリーチ。放銃?問題ありません笑

case4も即リーチします。9pが枯れててシャンポン変化もなく、3枚目9p引き等もないので、4,6ソウを引けなかったらお蔵入りになる手。なら相手を降ろすこともかねて、早くリーチするのが得かなと。リーチかけずに脇に自由に打たせて和了られるのが、リーチかけて和了れないよりキツイですし。

case5、この6m…私はチーして打1mにしてしまいますね。自分が和了ることを考えた時に、ここチーしないと絶望的な気がするので。放銃したらもっと絶望的だろ!と言われるかもしれませんが、ここは自分の加点を優先したい手ではあります。1mも通っていない、かつリーチ者がターツ払い経由、かつトップ目ということで、好形であることを前提にし、かつ宣言牌3mだと1―4mは嫌ではあるのですが、当たらないパターンもあるし、まだまだ物理的に通ってない筋もあるので、とりあえず加点優先で1m切って、その後のことはその後の展開を見て考えるかな…という感覚ですね。1mが40%で当たると言われても、切っちゃうかなと思います。1mアンコ時については、6mチーしないという選択肢を取ったのなら、マンズ切って回るのがバランス取れてるとは思います!

長々と偉そうなこと、失礼しました!m(__)m
Posted by YA at 2019年06月12日 08:14
こんにちは。
対局開始 直後に接続が切れて画面に復帰できずにホーム画面に強引に戻ってされて、接続切れが発生した対局は反映されないだろうと思ってすぐに予約ボタンを押しましたが、反映されていたみたいでした。その後はキレ打ちして2ラス引きましたが、個人的な考察を落としておきたいと思います。

case1 リーチ

6p4枚切れで8pは使いにくいのでリーチでいいと思います。
南家の切った8pにラグがあるかないかであがる確率もわかりますが西家はドラ2m切っているので大怪我はしないと思います。


case2 打3s リーチしない

ドラ8mでドラが見えていない状況。カン2sは強いかどうかと言われれば、弱く相手に使われる可能性がある。
ドラが見えてないということは相手の押し返しも十分ありえるので、リーチの押さえつけ効果は期待できない。
ノミであがるよりも相手のリーチに放銃してしまう方が痛いのでドラ8mは使い切る前提で西家と東家に対して安牌になる1sを残していく。仮にノミ手でドラ8mを切ってポンされたりすると押し引きが変わるのでドラ8m切りは躊躇したい。最悪あがらなくてもいいまである。


case3 5s リーチ

カン2mはあがりは期待できる。5sの放銃は気にしない。


case4 5s リーチ

ドラ3m暗刻で持っており、他家からドラ3mの所在がわからないので押さえつけ効果は期待できる。仮にシャンテンを戻して12,13巡目でテンパイしても流局時の罰符が1人テンパイの可能性が早くリーチした時より下がるだろうし、いい待ちなるとは限らない。カン3sはクソみない待ちですが流局1人テンパイすることも考えリーチします。


case5 6mチー 打1m

親の捨て牌は手出し97m中は良形テンパイの可能性が高い。6mチーは無謀にも見えるが親の第1打9pでこちらがドラ8pが2枚という状況で親がドラ8pをトイツで持っているとは考えにくい。69pからの打9pなどがあり、親手牌の中には8pが使われている可能性は少ないと見て、親の打点は安いまである。こちらは満貫あるので攻め理由も十分あり、良形テンパイが組みやすいので攻めた方が強いと見ます。


Posted by 国家最終戦力 at 2019年06月12日 10:43
>>YAさん
コメントありがとうございます。

case2はリーチなのに、case1だけ迷うというのはなかなか面白いなと思いました。確かに、case1はロンと言ったところで打点的にはなんでもないですもんね。case2は供託リーチ棒もありますし、順位戦略的にアガリ自体がそこそこ大きい状況というのもありますよね。

case1は結果的には東をツモってますけど、対面が国士の河だったので、東の出は期待できないというのもありました。

case5は鳴く方が普通でしょうね。それだけに私もかなり悩みましたが、どちらかというと耐える局面と考えました。8sを切っているので6sが機能しにくいというのもありました。
積極的に声が出る感じではなかったので、そういう場合は感性に従ってスルーするということも私は多いですね。

仕掛けの比重よりも、メンゼンテンパイで攻め返しの比重を高めるというのが私の工夫で、それだけに残り1枚がすぐに出た時はあっと声が出ましたね(笑)
Posted by はぐりん@ at 2019年06月14日 08:18
>>国家最終戦力さん
コメントありがとうございます。

国家さんの考え方が概ね一般的でしょうね。
case2は親の2sが間に合っているのが気に入らず、自分でも自問自答しながらのリーチでした。
実戦は特上卓でしたが、鳳凰卓のように攻め返しの手組みが洗練されている卓だと、こういう安くて待ちの悪いリーチは恰好の的になってしまうので、大人しくダマとか取らずがいいと思います。

case3みたいなのはかなりの人が迷わないだろうけど、case125はやや意見が割れるみたいなところがあって、一見常識的ではない判断を取り上げた方が記事としては面白いのかもしれないですね。
Posted by はぐりん@ at 2019年06月14日 08:29
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