2019年05月12日

飛び寸がいる時の戦略的リーチ

飛び寸がいる時にどのように幕引きを考えるか、これは天鳳に限らず麻雀における重要なテーマだ。

飛び寸者は、
・流局時ノーテン罰符
・リーチするための1000点
・被ツモ時の飛び終了

を、常に念頭に置かなければならないため、
必然的に無理にアガリに向かうという局面が増える

形式テンパイも辞さずという構えで早い段階から仕掛けることも多い。

「貧すれば鈍す」というのはまさにこのことだが、
飛び寸者は打点よりも当座の凌ぎを重視する必要があるため、
損な手組みになりやすい=通常よりも攻撃のリスクが低い、ということが言える。

さらに、飛び寸者はテンパイ料も重要であるため、
テンパイしている状態から危険牌をブンブンと切り飛ばしてくることも多い。

この飛び寸者に特有の「隙」を突こうというのが、今回紹介する戦略的リーチだ。


天鳳の場合は、ラス回避に非常に大きな意味があるため、
下位者の点差を具に把握することで、より効果的なリーチを打つことが可能となる。

例えば、飛び寸者と僅差の3着目がいる場合、明確な攻撃を見せればその3着目はオリることが想定できる。
自分からわざわざ飛び込んでラスになるのはバカバカしいと考えるのが普通で、そういう状況を利用することで、より効果的なリーチが打てる。


それでは、飛び寸がいる時、リーチが効果的となるのは具体的にどんな場合だろうか?

・自分が上位で、縦長の点棒状況→縦長だと他家の順位UPの可能性が低くなるのでリーチが抑止力になりやすい

・好形の中堅手→2000や2600クラスの手をダマでアガっても決定打にならないので、脇から出アガリでより打点効率を求める。これがダマ満貫の場合は脇からでも決定打になるのでダマの方がいい

・リーチツモで飛び寸を飛ばすことができる→ダマならツモでも飛ばないが、リーチなら飛ばせる場合、終局させることができるのは大きい

・競り者から先制リーチが入っている→直対のリーチを打つことでアガリ時に決定的な差をつけることができる

・飛び寸が仕掛けている→必然的に当たり牌が出やすくなる上、飛び寸から起死回生のリーチの脅威がない。脇の仕掛けがあればさらに効果的


逆に、飛び寸がいても、ダマが効果的となるのはどんな場合だろうか?

・愚形→打点に関わらず、待ちが悪いとリーチが恰好の的となってしまうことも多いため、自らの隙となってしまいやすい

・自身の待ちがわかりやすい+α→待ちがわかりやすいのに加えてもう一要素あるならダマがいい、例えば3900クラス中堅手ならダマとか、注目が集まっている仕掛けの現物待ち、とか。


当然ながら、自身がリーチに踏み切るということは自身に隙を生むことになるため、しめしめという感じで反撃を食らうことも少なくない。

これを加味した上で有利な戦略が採れるか、ということである。

それでは、実戦例から具体的に見ていこう。



case1
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南1局、26900持ち2着目の親番。

上家が300点と飛び寸で、3着目の対面とは1100点差。下家が抜けたトップ目。

テンパイが入ったが、さてどうするか?





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これはダマがいいだろう。

タンヤオ、ピンフと変化が多彩で、ドラ引きもある。

ここでリーチといっても順位アップは見込めず、反撃された時のリスクも大きい。

それならば二手三手変化を見ての6000オールトップまで見たい。その可能性も十分に残されている手だ。


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ラス目からドラが出てきた。

これを仕掛けると出アガリの効くテンパイとなるが、これを鳴くか?





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スルーした(ラグあり)。

出アガリの効くテンパイにしたところで、アガリやすいわけではなく、他家の警戒度は下がる。

ラス目の覚悟のドラ切りに対し、ぬくぬくとした仕掛け。こういうのは大抵の場合自分にとっていいことが起こらない。

期待値とか目先の損得では結果は決まらない。重要なのは覚悟の差である。

スルーして持ってきたのは、微妙とも言える1pだが、さてどうしよう?





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5p切ってリーチとした。

2pは場況的に非常によく見え、出アガリの期待も十分。

仮に相手の立場だったとして、ドラのチーテンを入れられるのと、リーチを入れられるのはどちらが嫌だろうか?

少なくとも私ならリーチの方が嫌だと考える。

ラス目にテンパイが入ったであろうタイミングでのリーチ、見逃しはしないが、流局でも十分にトップが視野に入る。


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しかし、海底手前で、対面がツモアガり、300・500。

上手く凌がれ上家は0点で半荘継続。

最終的には再度2着を捲り切って終局となった。


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このリーチによって対面は一旦単騎を振り替え…


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1回アガリを逃していた。

仮に私が3mをチーしていたら対面はすんなりアガっていた可能性が高く、リーチが効果的だったことがわかる。

件の上家はドラ切りで一通テンパイだった。流局ならトップ捲りに楽しみができる。



case2
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東4局1本場の親番。

私が50200点とダントツで、対面が3000点とやや飛び寸。

ピンフドラドラのテンパイが入ったところ。

ダマでも対面から出れば終了だが、さてどうしよう?





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リーチとした。

理由は、ダマツモではギリギリ対面を飛ばせないこと、もう一つは縦長の点棒状況にある。

3着目の上家は親満を振ってしまうとラスが見えてくるため向かって来にくい。

2着目の下家は親満を振ってしまうと3着転落となってしまうため向かって来にくい。

下家がトップを狙うにしては差が大きいことを利用したリーチだ。

この場合、ダマにしておいて相手リーチを待って追っかけに踏み切る方が順位転落リスクが高い。

先手でリーチを打つことで相手を抑止し、ラス目との直対にした方がトップをキープしやすい、という戦略的リーチだ。


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しかし、ラス目との二人テンパイで流局となった。


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マンズの上は強いとは言えない場況だったが、山に4枚と十分だった。

ダマでも出ていない可能性が高いことから、結果的にも正解だっただろう。



case3
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南1局2本場、44800点持ちトップ目の西家。

上家が1900点と飛び寸。

ところが、35500点持ち2着目の親からリーチが入る。


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こちらもテンパイが入った。

場風の南が暗刻で出アガリが効くが、切りたい5pはなかなかヘビーな牌だ。

さて、どうしよう?





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5p切って追っかけとした。

親にツモられると、トップを捲られる可能性大につき、5p切ってアガりにいくべきだが、リーチを入れるかどうか。

仮にダマなら後のないラス目が押してきてアガれることもありそうだからだ。

ここでのポイントは、リーチをかけるとツモアガリで上家がぴったり飛ぶというところ。

親から出て2600直撃でも、トップは安泰というわけではないため、直対にして決定打を得たいという意もある。

仮に36pが親の現物になっているならダマが優位だと思われる。


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2件なら飛び寸の上家も受けざるを得ない。

上家的には討ち合いを期待することでラスを延命することが可能だからだ。


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先に掴んで5800の放銃となってしまった。

しかし、これは悪い結果ではない。ツモられているとトップを捲られ即終了だからだ。

放銃することで、飛び寸を助ける、これも一つの順位戦略だ。


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仮にベタオリしていると、どうなったか?

最終盤に親が6mをツモって終了となる。

36pもかなり強く、親がほどなく掴むが、暗刻の南が裏ドラ(!)で、直撃なら決定打となっていた。


52042.jpg

この後助けた親の攻撃をかいくぐり、トップ捲り。そのままトップで終えた。

飛び寸を持っていかれるツモを阻止する放銃、これの意味が大きい半荘だった。



case4
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南2局3本場、40600点持ちトップ目の親番。

対面が2600点と飛び寸。2着目の上家とは約10000点差。

絶好の縦重なりでテンパイが入ったが、さてどうしよう?





53501.jpg

リーチした。

対面から出ればダマでも即終了かつ、高目アガリはいずれも決定打につきダマもある局面。

リーチに踏み切ったのはリーチなら安目ツモでも対面を飛ばせるという点と、脇からの安目ロンがイマイチと考えたからだ。

これが安目5800ならばダマが良さそう。


53502.jpg

対面が無スジを連打してきた。

飛び寸にはツモられたら終了という考えが常にあるので、アガリ目のある手は攻撃に偏りやすい。

特に、仕掛けている場合は攻め返してくる傾向が顕著だ。


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あっさり高目が出て12000で終了。

このように、飛び寸が仕掛けている場合は先制リーチで脇を止めることがより有利に働きやすい。


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36sはダマでも脇からは出ないため、結果的にはリーチが正解だった。

36、47はダマでも出にくいため、リーチで相手の手を止めるのが有効になりやすい。



case5
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南1局、63200点持ちダントツの西家。

下家が500点と飛び寸。

2着目の上家からリーチが入って一発目、こちらもテンパイが入ったが、さてどうしよう?





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追っかけた。

ダマだろうがリーチだろうがトップは揺るがないが、ここで考えるべきは、仕掛けの親を降ろす、ということだ。

親も満貫クラスを打ってしまうとラス争いに巻き込まれるため、できれば無駄な放銃は避けたいはず。

親がオリてくれれば下家の失点割合が相対的に上がり、この局での終了確率も高まる。


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上家から望外の赤で5200のアガリとなった。

仮に上家への放銃となったとしても、1局進むので悪くない。


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一発目に、親は5sを抜いてオリに回っていた。

仮に私がダマなら親は4mを勝負していたかもしれない。

それだと5mでダブロンとなり、親が続いていた。

残り局が多ければ多いほど何が起こるかわからないため、狙い通りの局消化となった。



case6
69107.jpg

同半荘南3局、67400点持ちトップ目の親番。

依然として下家は残り500点のまま。

ドラなし、ピンフのテンパイが入ったが、さてどうしよう?





69108.jpg

リーチした。

これは、下家に親を回さないためのリーチだ。

私がダマだと上家がさらっとアガってしまうかもしれない、それだと下家に親が回ってしまう。

親番がある限り点棒がいくらあってもトップは安泰ではない。次局、天和と言われてしまうかもしれないのだ。

2着目、3着目は私のリーチに対しては向かってこないだろう。

リーチでラス目の下家と直対にすることで、この局での決着確率を高めようとの意だ。


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上家はドラをスルーしてオリに回った。まさに狙い通り。


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結果、下家から高目が出て終了。


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上家は、三倍満が狙えるレベルの手だった。

ここからオリに回るというのは、ラス回避の重要な天鳳ならではとも言える(東を鳴くかは結構迷っていた)。

私がダマなら上家は普通に仕掛けて、私からの直撃まであったかもしれない。

点棒の壁によるリーチの抑止効果が大いに発揮された局だったと言えよう。



case7
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東4局1本場、47900点持ちトップ目の親番。

700点持ち飛び寸の上家がポンポンと二役を仕掛ける。


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こちらにもテンパイが入ったが、役なしドラなし。

さて、リーチするか?





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これは少々迷ったが、リーチした。

ポイントは、ダマツモでわずかに上家が飛ばない点。

また、上家は8pトイツ落としから7pを固めていない可能性が高く、待ちに優位性があると判断した。

この場合は上家が本手の可能性も高く、リスクを伴うリーチであることは間違いない。

しかし、ダマから飛ばし損ねる方が痛いように感じた。


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結果は終盤に赤ドラを持ってきて12000の放銃となった。

上家の3s手出し直後だけに、ギャッとなったが案の定だった。

ドラの振り替わりという考慮余地も大きかっただけに、ある意味想定できる結果ではあった。

正解は別にして、これを後悔するならばリーチを打つべきではない、ということになる。


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47pは山に5枚。これぐらいならリーチは正当化できるだろう。

件の上家はなんとシャンテン戻しのホンイツ狙いだった。

そんな余裕がある状況にも見えないが、2000点では打点的に不満と判断したのだろう。

このぐらい有利な状況から、致命的な放銃に結びつくこともある麻雀の怖さというのが垣間見える。

この放銃によりまったくわからなくなったが、トップで終えられたのは幸いだった。



case8
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東3局、55000点持ちダントツの西家。

ラス目の上家が3100点となっている。

親と下家が2着争いで、親が発を仕掛けている。

難しいところをツモってテンパイしたが、さてどうしよう?





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7p切ってダマとした。

親の河が煮詰まっていて、ドラも見えていない。親に高い手の直撃だけは避けたい。

ちなみに、将来どちらのカンを想定するかで打牌が変わってくる。

現状親に対しては4pの方が危険なため、3p切りも考えたが、ペン3p待ちが頭によぎって7p切りとした。

両面ターツ落としでペン3pが残っている可能性は高くはないが。


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親に1pチーが入った後、上家にリーチが入って一発目。

なかなかヘビーな6sを持ってきたが、さてどうしよう?





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ツモ切り追っかけに踏み切った。

これはオリるか迷ったが、点棒の壁を利用して親を積極的に流しにいこうという意図だ。

上家はリーチ棒を出したため、裏1で飛ばすことができる。

親の手が高いなら4000オールでも終了につき、ここはオリるべきだが、1pチーで脅威は薄くなった。

仮に私の点数があと10000点少なかったならオリを選択していただろう。

ラス目に放銃したとしても1局消化の通行料と考えるだけの余裕はまだある。

参加率を上げて、局消化の比重を高める、という戦略だ。


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上家が一発で掴んだ1mにロンの声が重なり、2600と2900。

一発ならどのみち終了だが、私がオリていても結果は変わらなかったわけだ。


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ちなみに、上家の待ちは69pで、下家にも36pの受けがあった。

選択時は親の危険度から4pカンを優先すべきかとも思ったのだが、総合的には6pカンの可能性を残すのが正解だった

このへんは私も思いもよらない結果となったわけだが、全体のバランスを見ることが重要だとわかる。



case9
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東4局、38900点持ちトップ目の親番。

上家が2100点で飛び寸、2着目対面が36000点と僅差。

9sが暗刻になり、テンパイが入ったところ。

ダマでもアガれるが、さてどうしよう?





45129.jpg

ダマにした。

ポイントは、ラス目上家が打点を伴った仕掛けで注目を浴びている点だ。

上家の仕掛けはタンヤオ濃厚につき、9pはケアされにくい。

私がリーチを打ってしまうと、ドラまたぎの9pはまず出ないだろう。

その上、ピンズが場に高くて69pは山にいる気がしない。

リーチをかけても相当にアガリにくい状況だが、上家の仕掛けを利用すれば…


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このように、9pなら出る可能性がある。3900。

対面の様子を窺うに、上家うんぬんではなくただ自分の都合で押していた可能性大だが、リーチならこの9pは止まったはずだ。

僅差のトップ争いからこの直撃は地味に大きく、そのままトップで逃げ切った。

戦略的リーチがあるなら、戦略的ダマもある、ということ。


45131.jpg

テンパイ時、69pは山に残り1枚しかなかった。

ただでさえ出ないドラまたぎ、かつ山にいない待ちでリーチをかけてもあまりいいことはない。

このように、自身の待ちがわかりやすい場合はリーチで止めてしまうことの弊害が大きい。

注目を浴びている他家の現物待ちになっているなど、それによって出アガリが期待できる要素がある場合はダマの方が優れていることもある、ということである。


自分がダントツで、飛び寸がいる時というのはどういう選択をしても自分の勝ちは揺るがない、というケースも少なくない。

しかし、採りうる選択肢が多いということは負けに繋がる選択が多分に含まれている、ということに他ならない。

つまり、有利な時にどう打つのかを考えることは無限の可能性を秘めているのだ。

点棒があって、メンタルが充たされている、こういう時ぐらい間違えずに打ちたい、と思うのは私だけではないはずだ。
ラベル:天鳳 立直 戦略
posted by はぐりん@ at 23:50| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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