2018年11月04日

「プロが間違えた何切る」の間違い

まずは近代麻雀2018・12・1号を手に取り、
最後の方に掲載されているコラム「プロが間違えた何切る」を読んでほしい。


概要をさらっと記すと、東4局10300点持ちラス目の南家(中出雄介プロ)で、手牌は以下。


三萬四萬五萬五萬七萬一筒一筒五筒五筒一索二索東中ドラ二索出る一筒

10巡目に中を仕掛けている親から1pが出て、南家はこれをポン。
ブラフの意味を込めた仕掛けと本人が言っているが、これはどうだったのか、というもの。


本題とは関係ないが、私のこの仕掛けに対する見解を簡潔にまとめると、
トップ目の親の仕掛けに注目が集まっているこの局面でのブラフ仕掛けは巡目的にも効果が薄い。
手が入っている者は確実に攻め返してくるし、南家よりも親のケアが最優先になるというのは変わらない。

さらに、2着勝ち残りのトーナメントであることを踏まえると、
こういう局面では無駄に動きを入れずに、親の仕掛けに他家が飛び込むことで点差を縮めるということを考慮したほうが得だと思う。

仕掛けながらもそれは期待できるが、自身のアガリ目がなくなってしまう。
ドラ1あれば打点的には十分だし、終盤にテンパイが入ってリーチと行ける可能性も十分に残っている手牌だと私は思う。
1pを鳴かなくても最終的にテンパイに取れる可能性もあり、ここはどっしりと行く方がいいように思う。

また、1pポンの目的は「ブラフ」よりも「形式テンパイ」である方がこの局面の理に適っている、という気がする。

いずれにせよ私なら鳴かない。


さて、そろそろ「プロが間違えた何切る」を読み終えた頃だろうか。

それを読んだ多くの人はおそらく、このような感想を持つだろう。


「で?」


思春期の反抗期でもないのにこんなセリフが自然と出てくる。

正確に記せば、以下である。

「で、結果はどうなったの?」


選択の是非を論じる際には局の結果も明示すべき

麻雀における選択の大半は、1局の結果をより良いものにしようという意図を持ってなされる。

局収支の最大化が目的というと語弊があるが、それに準じた選択が意識されることが多いだろう。

オーラスに近づくにつれて、局収支よりも最終順位に重きを置かれるようになるため、「常に」というわけではないが、
それでも基本的には局の結果に重きを置かれることになる。


1pをポンした中出プロはこう言っている。

「老頭牌のポンで他家を打ちづらくするのが第一の狙い。そのまま局を長引かせてあわよくば形式テンパイまで持ち込むことが理想です。」と。


仮にこの局の結果が、中出プロの仕掛けにドラを掴んだ親が打ち切れずにオリ、中出プロの一人テンパイになったとしたら、
これは狙い通りで、ブラフ仕掛け成功ということになる。

しかし、例えば仕掛けによって3着目にテンパイが入り満貫ツモられだったり、逆に中出プロの一人ノーテンになったりであれば、ブラフ仕掛けは大失敗ということになる。

中出プロに仕掛けの目的、局の方針を聞いている以上、局の結果を表示するのはもはや義務ではないだろうか?


この記事を書いた梶やんは、この局の結果はもちろんのこと、この半荘の結果も知っているから、
いかにも周知のことのように書いてしまったのかもしれないが、
結果を知らない読者に対してそれに一言も触れないのは記事としては致命的ではないかと私は思う。

画像なんかなくてもいい、「この局は親が1000オールのツモとなった。」と一言添えればいいだけの話である。
(実際の結果は私も知りません)



もちろん、麻雀は結果論で語られるべきではないため、結果部分は伏せた方が客観視できるという考え方もあろう。

期待値的に明らかに劣る選択が結果的には正解ということも麻雀なら日常茶飯事だ。

しかし、私は立体牌図で局面を提供する際は、局の結果の明示は必要不可欠であると考える。

その結果がどのようなものであろうと、自身が考えた選択における一つの指針となるからだ。


麻雀打ちにおける重要な作業が、自分が正しいと仮定した選択の結果がどうなるかの「サンプルを集める」ことだ。

明らかに損と思える選択も、サンプルを集めることで考え方が変わる、そのようなケースが麻雀には稀にある。

例えば、縦に偏った場における縦固定の手順、それこそトイトイダッシュなんかも期待値的には決して有利には見えない仕掛けだ。

サンプルを集めることで自身における選択の正誤がどうであるかを徐々に結論づけていく。

私が牌譜を見て現在やっていることは、ほぼこれ1点だ。

結果が明示されていないと、サンプルが増えずにその議論は無為になってしまう。

局面が無限大にある麻雀においては近似の局面で自分なりの結論をその都度出していくしかない。

しかし、打ち手が4人であるため、不確実性が強く、局面の期待値を正確に出すことが難しい。

これが麻雀においてAIが人間を未だに越えられない要因の一つであると私は考えている。


私はこれまで、様々な戦術本や、ブログにおいて麻雀理論を拝見してきたが、
局の選択を立体牌図で問うていながら、結果を表示していないケースは意外に多い。


これは推理小説において、最後に犯人を書かないのと同義である。

その都度私は不満に思い、買った書籍についてはお金が無駄になったとすら思った。


そこにきて、私のブログだ。

実戦例を数多く示してきたが、局の結果が表示されていないことが今まであっただろうか?

これは、以上の圧倒的不満点を踏まえての私なりの主張である。

もちろん、無駄だとかくどいとか思われることも多いと推察できるし、
それを省略することでもう少しスピーディに読んでもらえる工夫も可能だと私自身もよく思う。

前提として、一局の選択を問う際は、一局の結果を持って完結とする、というポリシーが私の中にあるからだ。

私の記事の中には、最終順位まで書いてあることも珍しくない。

その打牌が一局においてどのような結果を生み、それがどのような最終順位を生んだのか、これは欠くべからざる「一連の流れ」であるからだ。

厳しいことを言えば、一局の結果のみならず最終順位まで明示する必要がある、と私は思っている。


難しいのは、結果が悪ければその打牌が正しいものでも批判に晒されやすいという点で、結果にバイアスがかかりやすいことだ。

麻雀の記事を書いていて難しいのは、大抵の読者は結果を重視する傾向にあるため、
打牌の意図と結果をある程度結びつけなければ説得力を欠いてしまうということにある。

記事のコメントなどを見続けてきた私の経験から言えば、
結果に惑わされずに客観的に正誤を判断できる打ち手は上位でもほんの一握りで、ごくわずかしかいないという印象がある。

それゆえに、結果を明示する場合は、一定のリスクを伴う。

そのリスクが嫌で明示しないというのがそもそも間違いであり、
局の結果を明示することは、すなわち因果関係のサンプルを提示することに繋がる。

たとえ批判に晒されようとも、このことはお互いにとってプラスの作用を生むはずだ。

麻雀のさらなる技術力向上のためにも、こうした風潮は広まってほしいと私は願っている。
ラベル:評論
posted by はぐりん@ at 21:23| Comment(10) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
で?
Posted by at 2018年11月04日 23:05
こんばんは。

「ブラフの意味を込めた仕掛けと本人が言っている。」

と文章を読んで、ブラフが成功するかどうかは対戦相手の考え方や経験の差で変わっていくものであり、
ブラフに対しての結果と相手の行った打牌についての考察もしっかり書かれていれば、内容的にもっと厚くなっていたのかもしれませんね。


一例だと10巡目だと形テンに見えたり、テンパイに近い相手だとまったく効果がない。鳳凰卓七段と九段程度だと打牌が違ってくるなど、因果関係というものは状況次第で変わっていくので対人要素がある項目はしっかりと結果とその結果に至る過程についての考察はほしいものです。

具体的な事をいうと
牌譜↓
http://tenhou.net/3/?log=2018041623gm-00a9-0000-ac48ed95&tw=0

東4局1本場のブラフについて

ブログ↓
http://blog241080412.blog.fc2.com/blog-category-9.html


ブラフで親に振り込ませた相手が七段で、対戦相手によって打ち方が変わって因果関係が変わるのではないかと思い、振り込んだ側の視点に立ち、違う立場だとどう打つか?についてブログで考察をし、もし「九段程度なら親に振り込ませることができなかったかもしれない。」と結論を出している。
Posted by 国家最終戦力 at 2018年11月04日 23:10
>>国家最終戦力さん
ブラフというのは、限定的な状況でのみ機能しうる戦術で、状況のみならず打牌速度なども重要ですから、打ち手の技術力が問われる難易度の高い戦法であると個人的には思っています。

国家さんの牌譜およびブログを拝見しましたが、
本件ブラフと比較すると高そうに見えるため、ブラフとしての機能性は上だと感じました。

本記事のブラフは誰が相手だとしても、脅しとしての効果はそれほどないという意味で、ブラフとしての価値は低いと言えそうです。

あとは、親に対応する必要のある北家にはブラフは馴染まず、南家や西家限定の戦術であるかもしれませんね。
Posted by はぐりん@ at 2018年11月05日 01:25
>>名無しさん
なるほど!
Posted by はぐりん@ at 2018年11月05日 08:13
わざわざこの何切る見るためだけにポチりたくないので、適当なことを言うが、

で?

河にどれだけ役牌が出てて、どれだけドラが見えてるの?
で、自分の河はどうなの?

老頭牌のポンでというけど、10順目という遅く、聴牌取るにも見えない順目で、役が異常に絞られる上に安く見えるんなら、それって抑止力になってるの?

仕掛けの親からの1pポンって安牌削ってるだけじゃないの?

この打ち手は普段からこういう仕掛けするの?しないの?

結果を書いてないということを邪推すれば、失敗したんだろうなと思いました まる

自分は局ですら生ぬるくて、半荘の結果も当然のように載せて欲しいくらい。

あまり手筋以外の批判はしたくないが、悲しいかな、いろんな意味で後付けにしか見えない。
Posted by at 2018年11月05日 09:52
>>名無しさん
結果が書かれていないとモヤモヤッとしますよね。
「プロが間違えた何切る」なんだから、悪い結果でも堂々と載せやすいはずなのに…。

DVDの売り上げを伸ばすためにあえて結果を伏せた?
だとしたら梶やんすごいわ。
Posted by はぐりん@ at 2018年11月05日 11:55
ね。

アマチュアならまだしもプロを名乗るから厳しく言わせてもらうけれど、正直この何切るが問題になるレベルの対戦なら、DVD買えないよ…

梶やんくらい顔が広いなら、対戦相手にどう思ったか聞きに行けばいいのにとしか感想が無いよ。

でもたいした情報の無い何切るの魅力は分かる。
自分で条件考えて、膨らますことができなくも無いから。

ただ、このコラム(雑誌)がビギナー向けなのか、ある程度理解力のある層向けなのか、どっちの層に売りたいのが中途半端で気持ちの収まりがつかないのが問題なのだと思う。
Posted by at 2018年11月05日 12:24
>>名無しさん
ブラフの場合は対戦相手がどう思ったか、っていうのは確かに聞いてみたいですよね。
せめて、全員の手牌オープンすれば白が浮いている人にはブラフは効いたな、とかわかるんですけど。

コラムは少なくとも中級者であれば理解しやすい内容であると思います。
それより、漫画のラインナップが最近はイマイチという気がしますね。
Posted by はぐりん@ at 2018年11月05日 15:52
同感。私のTwitterもはぐりんさんを見習って結果をのせています。鳳凰卓での対戦を楽しみにしています。
Posted by u4kamo10 at 2018年11月08日 01:17
>>u4kamo10さん
ありがとうございます。
こちらこそです。
Posted by はぐりん@ at 2018年11月08日 07:40
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